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  • 2011.06.16 Thursday
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臓器移植について考えてみる。

メルボルンライフも間もなく終了します。
皆さん、今日は、M田@メルボルンです。
仕事も終盤に差し掛かり、それなりにConclusionを付けられるようになってきました。
難しい難しいと頸を捻っていた仕事も、漸く終了です。
正直、当初自分が期待していたよりも小さな規模でしか仕事ができなかったのですが、今回は仕事の成果以上に学ぶ事が多かったので「それでも良いか」と納得しております。

そんなこんなで、メルボルンに来てもう2月程度経過した訳ですが、この間に、日本は様々に動きましたね。
中でも僕が最も気に掛かっているのは、臓器移植を巡る様々な動きです。
改正臓器移植法が施行されたのが平成22年7月17日から。
それこそ、医学展から1月程度たった後の話でした。
この改正により、「本人の意思が不明な場合も、ご家族の承諾があれば臓器提供できる」ようになりました。
また、「15歳未満の方からの脳死下での臓器提供も可能」になりました。
そして、もう一つ大きなポイントとして「親族に対し臓器を優先的に提供する意思を書面により表示する」事が可能となりました。
この改正移植法の元で、今日までに3件、本人の意思不明で家族の承諾を基に脳死判定が行われています。

この善し悪しについては、それぞれ賛否両論あるでしょう。
そもそも、移植医療の賛否からしても、その議論は非常に難しい物です。
元々、移植医療はドナーが居なければ成立せず、世界中何処でもドナーの確保が問題となっています。
日本は特に脳死判定に入り得るケースが少なく、今回のケースで脳死移植が行われれば国内89例目となります。
改正前の法律では、13年間の歴史の中で86例しか実際の移植は行われませんでした。
これに対して、今月の9日以降、3週連続で本人の意思表示なく家族承諾のみで脳死判定が行われている事を考えますと、恐らく、今回の法律改正によるドナーの絶対数は増加する事となるのでしょう。
移植を推進する立場の方からすれば、これはとても望ましい事でしょう。

しかし、中には不安を抱く方や、疑問をもたれている方もいらっしゃるようです。
1つには、脳死判定などを行う施設の負担です。
一般の方々は「何を甘ったれた事を!」とお怒りになるかも知れませんが、これは非常な問題です。
ただでさえギリギリの労働環境に置かれている医師が、慎重に行われなければならない脳死判定を行う事は、とても大変なのです。
ある病院では、金曜日の夜に脳死判定が始まり、臓器の摘出などの一切の作業が終了したのは日曜日の昼だったと言う話さえも聴きます。
更に、ドナーが小児だった場合、ただでさえ慎重さと厳密さを求められる判定に加えて、虐待の可能性の否定など、非常に難しい判断が迫られます。
これらが「個々人の負担が大きい」と言う問題で済むのであれば、未だ良いのですが、重度の疲労はミスを生み、結果として多くの方々を不幸にします。
僕が懸念しているのは「家族への対応が粗雑になる事」と「他の患者さんへの対応におけるミス」の二点です。
前者の、家族へのケアは、現在厚生労働省も対策を検討している大きなトピックです。
後者については、脳死の判定にエネルギーを取られて、目の前の患者さんへの治療に支障を来す事は、一臨床医としての本分に差し障るのではないかと思うのです。(あくまで私見ですが)
厚生労働省も、診療報酬の上で優遇するなど様々な対策を練っているようですが、移植医療を推し進める上で、環境の整備は必須の事項と言えるでしょう。

また、臓器移植について、市民がどう考えているかも大きな問題です。
皆さんは、家族で臓器移植について考えられた事はありますか?
我が家では、時折このような話をするのですが、それをしっかりと書面で表しているかは、不明です。
現在では「提供の可否」をインターネットなどでも登録する事が可能です。
その他に、運転免許証や保険証、意思表示カードでの意思表明も可能です。
僕自身と姉は意思表示カードを携帯していますが、家族の中では、事実上同意を得られていないのが実際です。
意思表明をする事は非常に重要ですが、家族の中で話し合い、互いに納得する事が重要だと感じています。

今回までの3件では、本人の意思が不明のまま、脳死判定が進められました。
家族の方々はいずれも「誰かの身体で生きてくれるのなら」と、決断されたようです。
しかし、あくまで本人の意思は不明、もしかしたら、本人が望んだ結果ではなかったかも知れない。
それが、僕と相方との議論の中ではしばしば議題となっていました。
「二十歳そこそこで意思表示をしている人がどれだけ居るのか」また「口約束では本質的な意思表明にならないのではないか」として、本人の意思をいかにして酌んでいくかが、難しいと話をしていました。
結局の所、客観的に明らかな生前の意思表明(リビングウィル)が重要なのでしょうねぇ......

幾つかの国では、意思表示が無い場合、心臓死が認められると臓器の摘出がなされてます。
これらは、ヨーロッパを中心に見られ、「本人が臓器提供を拒否する意思表示をしていなければ、臓器提供が可能」という法律を制定しています。
これらを「推定同意」と言い、スペイン、ベルギー、オーストリアなどが該当します。
僕の留学先であるオーストラリアでは「本人の意思が最優先されるが、本人の意思が不明の場合は家族が提供を承諾すれば可能とする」と言う、現在の日本と同様の措置がとられています。
オーストラリアでも臓器移植の意思表示はネットを経由して行われているそうです。(どれだけの人が明確に自らの意思を表示しているかは、調べつかず)
日本がこれからどのような方向に流れていくかは分かりませんが、国民個々人の意思をしっかりと把握する事が、これから先、求められる対策ではないかと思います。
尤も、これは推定同意に近い方針を日本が取っていくと想定した上での意見ですが......

結局、巧くまとめる事ができず、情報の羅列で終わってしまいましたが、何にせよ、一度家庭で話し合ってみる事が大事、と言う事は明らかではないでしょうか。
こう言った情報を発信し、且つ、議論を促す場として、臓器移植法が施行される1月前に、医学展で何かしら臓器移植について企画を組めたら良かったのになぁと若干反省している今日この頃です。
家庭で話し合う切欠を、作れれば良かったなぁと、今更ながら反省しています。

もし来年何かしらチャンスがあるのであれば、医学展のテーマか企画として「臓器移植」について考えてみるのも良いのではないだろうかと、勝手に思っています。
今年、もう少し思い付くのが早ければ「再生医療と移植医療」とか「再生医療と人工臓器」なんてテーマで展示なり何なりができたら面白いのではないかなぁと考えていたのですが......なかなか難しい物ですねぇ。笑
来年は「再生医療と移植医療と人工臓器」なんて壮大な計画を立ててくれたらなぁ、なんて思っています。

何はともあれ、一度ご家族や恋人、友人間で話し合ってみて下さい。
そして、ご自身の意思を、明確に表示する事を、検討してみて下さい。

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